
子どもへの声かけ・つきまとい・連れ去り未遂は、全国で毎日のように発生しています。「気をつけなさい」という言葉だけでは子どもを守れません。子ども自身が危険を認識して行動できる力を育てることと、地域全体で見守る体制を整えることの両方が重要です。
子どもへの声かけ被害の実態
各都道府県の教育委員会・警察が発信する不審者情報をまとめると、子どもへの声かけ・つきまとい・不審な撮影は全国で年間数万件に上ると推計されます。その多くが登下校中・塾帰り・公園での一人遊び中に発生しており、特に下校時の15〜18時に集中しています。
報告されていないケースも多く、実際の発生数はさらに多いと考えられています。子ども自身が「これは怖いことだ」「大人に報告しなければいけない」という認識を持っていなかったり、「大したことではないかも」と自己判断して保護者に伝えないケースが多くあります。
声かけ・つきまといが被害に発展するケースの前段階として、「同じ人物から複数回声をかけられている」「特定の場所で待ち伏せされている」という状況が続く場合があります。子どもが「なんか変な人がいた」と話した場合は、必ず詳しく聞いて学校・警察に報告してください。
子どもに教えるべき「いかのおすし」の実践的な解説
防犯教育で広く使われる「いかのおすし」は、子どもが危険な状況で取るべき行動を覚えやすくまとめたものです。ただし言葉として覚えるだけでなく、具体的な場面を想定したロールプレイングで「実際にどうするか」を練習することが重要です。
「いか」——ついていかない
見知らぬ人・知っている人でも「一緒に来て」「車に乗って」「近くにいい場所がある」という誘いにはついて行かないことを徹底してください。大人が子どもに助けを求めることは本来ありません。「迷子の子猫を探している」「お父さんが頼んで来た」「美味しいものをあげる」といった言葉も断るよう練習してください。
「の」——のらない
知らない人の車・自転車・バイクには絶対に乗らないことを教えてください。「駅まで送ってあげる」「おうちの近くまで送る」という言葉に注意が必要です。乗ってしまうと助けを求めることが格段に難しくなります。
「お」——おおごえをだす
危ないと感じたら「助けて!」と大声を出すことを実際に練習してください。防犯ブザーの使い方も実際に操作させて慣れさせることが重要です。「泣き声を出すのは恥ずかしいことではない」という意識を持たせてください。声が出せない状況では防犯ブザーを活用してください。防犯ブザーはランドセルやバッグの外側の目立つ場所に取り付け、すぐに引っ張れる位置にあることを確認してください。
「す」——すぐにげる
誘われたり触られそうになったりした場合は、走って逃げることを優先してください。逃げる先は人がいる場所——コンビニ・飲食店・民家・学校・警察署など——です。具体的な逃げ込み先を日頃から子どもと一緒に確認しておくことが重要です。
「し」——しらせる
怖いことがあったら必ず大人(保護者・学校の先生・警察)に知らせることを伝えてください。「誰にも言ってはいけない」「言ったら大変なことになる」という言葉は危険なサインです。何があっても保護者は怒らない・一緒に対処するという安心感を普段から伝えておくことで、子どもが報告しやすくなります。
保護者が実践すべき通学路の安全確認
親子での通学路の確認
通学路の危険箇所を親子で実際に歩いて確認しておくことが最も重要な対策の一つです。「どこで助けを求めればいいか」「どの建物に逃げ込めるか」を具体的に話しながら歩くことで、実際の危険な場面での行動につながります。一度確認しただけでなく、学年が上がるにつれて定期的に見直してください。
子ども110番の家・お店の把握
「子ども110番の家・お店」は、ステッカーが貼られた民家・商店で、子どもが助けを求めに飛び込める場所です。通学路沿いの子ども110番を把握し、子ども自身にも場所を覚えさせてください。子ども110番に逃げ込んだら、大人を呼んで警察に連絡してもらうよう教えてください。
帰宅時刻の把握と遅延時の連絡ルール
子どもの帰宅予定時刻を把握し、一定時間を過ぎても帰宅しない・連絡がない場合の対応を決めておいてください。「遅くなる場合は必ず連絡する」というルールを徹底し、子どもが一人で寄り道しないようにすることも安全確保につながります。
GPS機能付きのキッズ用スマートウォッチ・携帯端末も現在は手ごろな価格で普及しています。子どもの位置情報をリアルタイムで把握できることは、万が一の際の初動対応を早める効果があります。
地域全体で守る——通報・見守りの仕組み
不審者を見かけたら迷わず通報
不審者を見かけた場合はためらわず警察(110番)に通報してください。「騒ぎ立てたくない」「気のせいかもしれない」という遠慮よりも、子どもの安全を優先した通報が地域全体の安全を守ります。通報内容として「不審な人物の特徴(性別・年齢・服装・体格)」「場所・時刻」「どんな行動をしていたか」を伝えてください。
不審者情報の共有と活用
学校・自治体から不審者情報のメール配信サービスが提供されている場合は必ず登録してください。リアルタイムの情報共有が早期対応につながります。子どもに「今日○○の近くに不審な人がいるから気をつけて」と具体的に伝えることで、子どもの警戒心を適切に高めることができます。
見守り活動への参加
PTA・自治会・警察が主体となって行う登下校の見守り活動への参加も、地域の防犯力向上につながります。一人ひとりの少しの時間の投資が、地域全体の安全を高めます。
※参考:警察庁「子どもの安全」(https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/syonen/bouhan.html) ※参考:文部科学省「学校安全の推進に関する計画」(https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/)
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