ストーカー被害の実態と予防——早期対応が被害拡大を防ぐための完全ガイド

ストーカー行為は「しつこい恋愛感情の表れ」ではなく、重大な人権侵害であり犯罪につながる危険な行為です。被害の多くは元交際相手・知人によるものですが、見知らぬ人物による被害も発生しています。「大げさかもしれない」「また過剰反応と思われたくない」という気持ちを抑えて、早期に相談・対応することが身を守る上で非常に重要です。

ストーカー被害の現状——毎年2万件以上の相談

警察庁の統計によると、ストーカー事案の相談件数は毎年2万件前後で推移しています。被害者の約8割が女性ですが、男性も被害を受けるケースがあります。20代・30代の被害が多い一方で、幅広い年代に被害は及んでいます。

ストーカーの加害者は元交際相手・元配偶者が最も多く(全体の約50%前後)、次いで知人・友人、面識のない人物という順になっています。交際終了後・離婚後に被害が始まるケースが多いため、関係が変化したタイミングでの注意が特に必要です。

ストーカー行為が殺人・傷害などの重大事件に発展したケースも過去に複数発生しており、早期対応の重要性が広く認識されるようになっています。「これくらいは大げさじゃない」と思った時点で相談することが、取り返しのつかない事態を防ぐことにつながります。

ストーカー規制法で規制される行為

ストーカー規制法では以下の行為が規制されています。

つきまとい・待ち伏せ・押しかけ行為、面会・交際の要求、乱暴な言動、無言電話・連続した電話・メール・SNSメッセージの送信、汚物などの送付、名誉を傷つける内容の送付・掲示、性的羞恥心を侵害する内容の送付・掲示などです。

2021年の法改正でSNSを通じたつきまとい行為も規制対象に追加されました。InstagramやX(旧Twitter)・LINEなどを使った繰り返しのDM送信・投稿への執拗なコメント・アカウントを特定しての個人情報調査なども規制対象です。

位置情報確認を目的としてGPSを取り付ける行為も2021年の法改正で禁止されています。元交際相手の車・バッグに無断でGPSデバイスを取り付ける行為が相次いでいたため、法律で明示的に禁止されました。

被害に気づいたら最初に取るべき行動

記録を残す

ストーカー被害に気づいたら、まず日時・場所・行為の内容を日記・メモなどに記録してください。受信したメッセージ・メール・着信履歴はスクリーンショットで保存し削除しないでください。目撃者がいれば証言をもらえるよう依頼してください。

これらの記録は警察への相談・被害届の際の証拠となります。「言った・言わない」という状況になったときに、記録があれば客観的な証拠として機能します。被害に気づいた初期段階から記録をつけ始めることが重要です。

一人で抱え込まずに相談する

被害を一人で抱え込むことは、精神的な負担になるとともに、相手の行為がエスカレートしてからでは対応が難しくなります。早い段階で以下の相談窓口に相談してください。

最寄りの警察署への相談が最も直接的な対応です。相談実績をつくっておくことで、被害が深刻化した場合の対応が迅速になります。各都道府県の警察本部に設けられた「ストーカー相談窓口」も利用できます。女性の場合は「DV相談ナビ(#8008)」も活用できます。

対応のポイント——相手を刺激しない対処

連絡への対応方法

ストーカーからの連絡(電話・メール・SNS)に対して、返信・応答することで「反応してくれた」という認識を与え、行動がエスカレートする場合があります。一方で、ブロック・着信拒否が相手の逆上につながる可能性もあります。どのような対応を取るべきかは状況によって異なるため、警察や専門機関に相談してから判断することが重要です。

一般的には、複数回の連絡が来た場合に「これ以上連絡しないでください。対応は警察に委ねます」と一度だけ明確に伝えてから、以降は一切応答しないという対応が推奨されることが多くあります。

自宅・行動パターンの情報保護

自宅住所・勤務先・よく使う経路などの情報がSNSや日常の会話から漏れないよう注意してください。写真のジオタグ(撮影場所情報)をオフにすることも有効です。位置情報を共有する機能(SNSのチェックイン・iPhoneの位置情報共有など)は被害者・加害者の双方が確認できる状態にならないよう管理してください。

帰宅経路・時間帯を不規則にすることも対策の一つです。「毎日同じ道・同じ時間に帰る」という規則性がつきまとい犯の計画を立てやすくします。

自宅のセキュリティ強化

ストーカー被害を受けている場合は、自宅のセキュリティ強化も重要です。玄関の補助錠追加・ドアスコープ(のぞき穴)のカバー設置・防犯カメラの設置が有効です。玄関前に防犯カメラがあることで、待ち伏せ・郵便受けへの投函・ドアへの落書きなどの行為を映像で記録でき、証拠保全につながります。

※参考:警察庁「令和5年のストーカー事案の概況」(https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/stalker.html) ※参考:警察庁「ストーカー被害に遭ったら」(https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/stalker/)

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